よき妻と夫と私

最近、「サザエでございます」でお馴染みの『サザエさん』に出てくる『フネさん』に密かに憧れている私
波平さんをしっかり支え、時に厳しく、時に優しく子供たちに接するフネさん。『よき妻』、『よき母』の代表的な存在だ。
そんなフネさんに憧れてはいるものの、まったく『よき妻』になれない私
そんな私に、今朝仕事に出かける夫が言った。
「靴べらがほしい。」
「は？靴べら？」
靴べらといえば、（お父さんが革靴を履くときに使うもの）だと思っていた私。
話を聞くと、夫の靴は大体紐で結ぶタイプなのだが、紐をきつく結んであるので、履くときに結びなおさなければいけないらしい。そこで、靴べらが欲しいって事らしい。納得だ。
これは『よき妻』になるチャンスだ夫が朝仕事に出かけるとき、絶妙のタイミングで、靴べらを渡す妻。その時の台詞は、「はい、あなた。」だ
すぐさま私の頭の中には、
『靴べら＋はい、あなた＝よき妻』
という、完璧な式ができたフネさんも波平さんに靴べらを渡していた様な気がする。よき妻の必須アイテム、それは靴べらだ
早速靴べらを求め、主婦ご用達の１００円均一へＧＯ


これが、よき妻必須アイテムの靴べら。これで半分はよき妻だ
が、残りの半分、靴べらを渡すタイミングが肝心だイメージトレーニングに励む、よき妻予備軍の私
そんな私に早速チャンスが訪れた。お昼ご飯を食べに夫が帰って来たのだ。このチャンスは決して逃してはいけない
緊張しながらその時を待つ私。
「はい、行くよ。」
夫が腰を上げた。黙って夫の後を歩く私。夫が靴を履こうとしたその時、
「はい、あなた。」　（やった～、完璧だ～）
と思った瞬間、夫の申し訳なさそうな顔が・・・
よく見ると、夫は現場用の靴（紐がなく、履きやすい靴）を履いて帰って来ていたのだもちろん靴べらは必要ない。
靴べらを持ち、がっかり顔の私。そんな私を気の毒に思ったのか、靴べらを使って靴を履いた夫。
「使いやすいよ」
と、さわやかに言って仕事に行った夫。
『よき妻』になれなかった私の夫は間違いなく『よき夫』だ